ヤクシマセミタケ

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2011/08/15

静岡の茶のかほりさんことK坂さんからヤクシマセミタケが届いた。八丈島に行ってこられたそうで、300体以上ものヤクシマセミタケの他、ウスキタンポセミタケなど多数の虫草を見つけられたという。こちらにもお裾分けをいただいたのだが、下の写真がその全容だ。
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ヤクシマセミタケはもちろん実物を見た事はないし、自力で見つけられるような種類ではなかろうと考えていたので、これを見た時には感激した。
尚、寄主は全てツクツクホウシ。八丈島には蝉はツクツクホウシしかいないので、全てのセミ生虫草がツクツクホウシに寄生する。
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Ophiocordyceps yakusimensis
Host: nymph of cicada. Place:Hachijo-jima. Aug. 2011


結実部。
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head of Ophiocordyceps yakusimensis

さて、外観の撮影後さっそく検鏡を試みたが、やや未熟のようでもあり冷蔵状態だったこともあり、なかなか胞子を放出してくれない。5、6枚のスライドグラスの上に虫草を置いてみたが、ようやく2体だけが胞子を出してくれた。
その後子嚢殻、子嚢なども検鏡した。

まず子嚢殻。
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perithecia of Ophiocordyceps yakusimensis

子嚢。
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asci of Ophiocordyceps yakusimensis

子嚢胞子は32個の部分胞子に分裂するが、片端の数個が極端に大きい。この点ではセミタケやエゾハルゼミタケと似ている。
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ascospores of Ophiocordyceps yakusimensis

アナモルフも調べてみた。ヤクシマセミタケは屋久島や八丈島などに分布するが、このような見事な花蝉型のアナモルフは八丈島でしか見られないという。
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anamorph of Ophiocordyceps yakusimensis
Host: nymph of cicada. Place:Hachijo-jima. Aug. 2011


分生子形成細胞
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conidiogenous cells of Ophiocordyceps yakusimensis

分生子
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conidia of Ophiocordyceps yakusimensis

分生子形成細胞と分生子もセミタケやエゾハルゼミタケとよく似ている。この3種はDNA解析によっても近縁であることが明らかになっている。


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