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きのこ旅の人が来た

2018/08/28

四国の山鳥さんからの依頼で、日本一周きのこ旅をやっている岩間A美さんをK川に案内することになった。そのこと自体は喜ばしいことなのだが、生憎今シーズンの虫草発生状況は最悪だ。7月初めの西日本豪雨であちこち土砂崩れが起きている上、その後の一ヶ月以上続いた37℃以上の猛暑のせいで地面はカラカラに干上がり、虫草はおろか普通のきのこさえ姿が見えない。
例年8月は地上生の種はだめでも、川の両岸の葉裏にクモ生虫草が多数見られるのだが、今シーズンはそれさえも出ていない。いつもはクモ祭り状態のクモ谷やアブ谷、本流やハガクレ谷の下流域も駄目。一体どうしたものかと困っていたところ、15日にハガクレ谷の上流域でいくらかクモ生虫草が出ているのを確認した。その後何度かまとまった雨があり、地面の状態もいくらか回復した。
さて、28日は駅で待ち合わせをしてバスでK川へ。雨が降って間がないので地面は一応湿っているが、まだ大きなきのこは出てきていない。しかし微細なきのこや変形菌が多数出ていて、岩間さんの興味を引く材料には事欠かない。数メートル進むごとにうずくまって地面を観察している。
私の方は手持ち無沙汰で川岸の葉裏などを調べていたが、シダの葉上に白い菌糸に覆われたイモムシを発見した。見たところハナサナギでもコナサナギでも赤僵菌でもなさそうなので、持ち帰って調べることにした。
検鏡してみると、どうやらCordyceps cateniannulataのようだ。私にとって初見の種だ。
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Cordyceps cateniannulata
Host: Larva of Lepidoptera. Place:Nagaokakyo. 28 Aug. 2018.


分生子形成細胞
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conidiogenous cells of Cordyceps cateniannulata

分生子
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conidia of Cordyceps cateniannulata

ようやく目的の坪に着いて川に降りる。両岸の葉をめくってはクモ生虫草を探す。前回見つけて、そのまま残っているものもあり、なくなっているものもある。新しく見つかったものもある。
岩間さんも自力でいくつか見つけた。
これはAkanthomyces aranearum
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Akanthomyces aranearum
Host: Spider. Place:Nagaokakyo. 28 Aug. 2018.


前回見つけておいたHevansia novoguineensisも見つかったが、あまり変わらないので画像はなし。
ギベルラがいくつか見つかった。最初のはクモノエツキツブタケだと思うが、あとのものはよくわからない。
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Gibellula sp.
Host: Spider. Place:Nagaokakyo. 28 Aug. 2018.


クモ生以外で見つかったのはハナサナギ、コナサナギ、ボーヴェリア、ハガクレシロツブタケ、ガヤドリの他、ナガレアブの卵塊に付く微細なトルビエラ。特に最後のものは久しぶりだ。これは持ち帰る。
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Torrubiella sp.
Host: Egg of Diptera. Place:Nagaokakyo. 28 Aug. 2018.


子嚢殻
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asci of Torrubiella sp.

子嚢
“abutamasinoux.jpg"
asci of Torrubiella sp.

子嚢胞子
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ascospore of Torrubiella sp.

虫草以外にも、岩間さんはいろいろ興味深いきのこを見つけていたようだ。一応満足していただけたかな。
  1. 2018/09/05(水) 15:27:02|
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北陸遠征

2018/08/17、21

京都市周辺が日照りでさっぱりなので、他の地方に遠征したいと思う。しかし資金が少ないのでJRの青春18切符を使うことにした。ご存知のようにJRの普通、快速、新快速を1日自由に乗り継ぎできて一回につき2370円で済む。しかし虫草が多そうな山間部の路線だと極端に本数が少なくて日帰りできないことが多いので、使える路線は自ずと限られる。そんな中で、京都からだと北陸方面が本数が多くてなかなか使い勝手が良い。つまり午前中に目的地に着いて、4、5時間探索して、あまり遅くならないうちに帰ってこられるということだ。
17日。事前に調べておいた情報を元に選んだ駅から、徒歩で目的地に向かう。駅からかなり距離があるが、この日は比較的涼しくあまり苦にならない。山道に入ってもなかなか快適なコースが続く。
時々良さそうな場所を通りがかると、立ち止まって調べる。まず見つかったのはカメムシから出たセミノハリセンボン。実を言うとカメムシ生のものを見つけたのは初めてだ。
“kamehari180817.jpg"
Purpureocillium takamizusanense
Host: Stink bug Place: Hukui pref. 17 Aug. 2018.


カメムシ生といえばカメムシタケはここでもよく見つかる。これは先端が二股に分かれている。
“kame180817.jpg"
Ophiocordyceps nutans
Host: Stink bug Place: Hukui pref. 17 Aug. 2018.


キリギリスの仲間から発生したボーヴェリア。結局、こちらでも京都周辺と同じく、きのこはさっぱりだ。
“B_b18-817.jpg"
Beauveria sp.
Host: Katydids Place: Hukui pref. 17 Aug. 2018.


21日は別の駅に降りた。今回の目的地は前回より駅から近い。空気はあまり湿っていないが、日差しは強い。川沿いの簡易舗装された道の両側に草がたくさん生えている。その中にイタドリの群生が混じる。このイタドリに巣食うコウモリガの幼虫に寄生する虫草があるのだ。イタドリは非常に多いが、多くは日当たりが良すぎて根元の地面が乾いている。日陰になった場所を中心に調べてみると、すぐにボクトウガオオハリタケが見つかった。
“boku180821a.jpg"


比較的簡単に茎の中から引っ張り出せた。なかなかの良形なので持ち帰った。
“boku180821b.jpg"

“boku180821c.jpg"
Ophiocordyceps macroacicularis
Host: Larva of Lepidoptera. Place: Hukui pref. 17 Aug. 2018.


子嚢
“bokusinou.jpg"
asci of Ophiocordyceps macroacicularis

子嚢胞子
“bokuhousi1.jpg"
ascospore of Ophiocordyceps macroacicularis

周辺のイタドリの根元にはカメムシタケやエダウチカメムシタケがたくさん出ている。さらに範囲を拡げて調べると、未熟な虫草らしきものが出ていた。ミドリトサカタケだ。これは茎というよりも根塊の中に喰い込んでいるようで、ドライバーやニッパーを使っても引っ張り出せず、宿主の途中から折れてしまった。ノコギリやナタが要るレベルだ。
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一応持ち帰る。未熟なので子嚢胞子は見れず。アナモルフだけ検鏡する。
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Metarhizium indigoticum
Host: Larva of Lepidoptera. Place: Hukui pref. 17 Aug. 2018.


分生子形成細胞
“M_ibunseisihei2x.jpg"
conidiogenous cells of Metarhizium indigoticum

分生子
“M_ibunseisi.jpg"
conidia of Metarhizium indigoticum

ミドリトサカタケの写真を撮って振り返ると、なんとクサギムシタケらしきものが目に入った。触ってみると既に朽ちかけているようで、結実部を残して崩れてしまった。一応持ち帰る。
“kusagi180821.jpg"
Cordyceps hepialidycola
Host: Larva of Lepidoptera. Place: Hukui pref. 17 Aug. 2018.

結局、最初に見つけたコウモリガ生の御三家以外はカメムシタケぐらいしか見つからなかったが、適当にネットで選んだ場所なので、これでも立派なものだ。
  1. 2018/09/04(火) 18:56:46|
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