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ニ月なのに

2010/02/24

知り合いの展覧会がいくつかあったので京都市街に出た。ついでにオオセミタケの坪を調べることにした。前回行ってからそろそろ一ヶ月になる。2月とはいえ4月並の暖かさだ。前に出ていたものは少し大きくなり、色も濃くなっていたが、数はあまり増えていない。
osem100224a.jpg

osem100224b.jpg
Ophiocordyceps heteropoda
Host:nymph of cicada. Place:Kyoto. 24 Feb. 2010


清掃作業が行われていたのでさっさと切り上げてハナヤスリタケの坪のほうに廻った。落葉を掻き分けて探すといきなり見つかったのがタンポタケ。かなり大きく伸びている。少し掘ってみるとなかなかきれいなツチダンゴが出て来たので、わざとらしい生態写真を一枚。タンポタケは他にもたくさん見つかった。
tan100224.jpg
Elaphocordyceps capitata
Host:Elaphomyces sp. Place:Kyoto. 24 Feb. 2010


ハナヤスリタケのほうもかなり大きくなっていた。少し掘ってみると近くに一個、少し離れたところにもう一個ツチダンゴが出て来た。
hanaya100224.jpg
Elaphocordyceps ophioglossoides
Host:Elaphomyces sp. Place:Kyoto. 24 Feb. 2010


今回はヌメリタンポタケも見つかった。すでに胞子を放出していて萎びかけている。まだニ月なのに。
nume100224.jpg
Elaphocordyceps longisegmentis
Host:Elaphomyces sp. Place:Kyoto. 24 Feb. 2010


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  1. 2010/02/26(金) 17:52:23|
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コニシセミタケ?

2010/02/18

このブログにもしばしば登場するAさんがセミノハリセンボンを追培して完全型のストローマを発生させるのに成功した。17日にあった京都の虫草仲間の集まりに持って来たのだ。昨年10月頃に京都市内で採集したセミノハリセンボン4体を20゜Cぐらいで追培したところ内一体から出て来たということだ。実は私も同じ頃に20体程採集して追培を試みたのだが、未だに何も出て来ていない。Aさんに較べて野外に近い状態でやったのが関係しているのかもしれない。まだ腐ってはいないので継続してみるつもりだ。セミノハリセンボンの追培で完全型のストローマの発生に成功したのは私の知る限りで2例目だ。(1例目は昨年か一昨年に山鳥さんの掲示板に投稿されたO野氏の例。東大阪産という。)

今回は私が撮影と検鏡をすることになり預かってきた。
koni100218a.jpg

koni100218g.jpg

koni100218b.jpg

koni100218c.jpg
Cordyceps sp.
Host:adult of cicada. Place:Kyoto. 18 Feb. 2010


さて、セミノハリセンボン Isaria takamizusanensisとの間でteleomorph-anamorphの関係が取りざたされているのはコニシセミタケCordyceps sp.なので、今回のものも当然コニシセミタケと考えられる。ところが『原色冬虫夏草図鑑(清水大典著)』のコニシセミタケの図版とかなり違うのだ。むしろ同じ図鑑のイリオモテクマゼミタケや若い時のスズキセミタケCordyceps ryogamimontanaの方によく似ている。
『京都府 レッドデータブック』のコニシセミタケのページ http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/fun0028.html によると〈橙黄色、セピア色、黒色と変化する。〉〈膨らみのある円筒状が多いが、稀に膨らみのないものや背着性になるタイプもある。〉とあるから個体によってかなり形態の変異が大きい種類なのだろう。
〈セミノハリセンボン( Isaria takamizusanensis)と同時に発生する。〉ともあるが、今回の標本ではセミノハリセンボンはすでに消失している。
セミノハリセンボンを追培して発生したのだからコニシセミタケとしていいのだろうが、形態的にはスズキセミタケと区別がつかない。
図鑑ではコニシセミタケの寄主はニイニイゼミ、スズキセミタケの寄主はエゾゼミまたはミンミンゼミとなっているが、今回の標本ではアブラゼミだ。
koni100218h.jpg

すでに胞子を放出し始めているようなので検鏡してみた。まずスライドグラスの上に標本の結実部を置いて胞子を放出させる。
水を使わずにドライで検鏡すると子嚢胞子の長さは200~280μmで240~260μmのものが多い。
koni100218i.jpg
ascospores of Cordyceps sp.

次に水を加えて高倍率で見る。子嚢胞子は分裂しにくいが、全く分裂しないわけではない。幅は1.5~2μm これは図鑑の通りだ。隔壁は見えないわけではないが非常に見にくい。
koni100218f.jpg
ascospore of Cordyceps sp.

次にメルツァー液を使って見る。子嚢胞子の幅はやや細くなり1.2~1.5μm 隔壁間の長さはかなりばらつきがあり6~10μm、7~8μmのものが多い。
koni100218e.jpg
ascospore of Cordyceps sp.

ストローマを針でほじくって子嚢殻を取り出す。
koni100218k.jpg
perithecia of Cordyceps sp.

子嚢。長さは280~330μm 幅は4~5μm
koni100218j.jpg
asci of Cordyceps sp.

以上のデータを図鑑のデータと比較する。以下冬虫夏草図鑑からの抜粋。

〈コニシセミタケ Cordyceps sp. (konishisemitake) 子嚢殻は卵形。400~420×170~190μm 子嚢は160~210×5~7μm 子嚢胞子は100~130×1~1.5μm 二次胞子は2.5×1.5~2μm 〉

〈スズキセミタケ Cordyceps ryogamimontana 子嚢殻は卵形。400~460×270~290μm 子嚢および子嚢胞子はデータなし。 二次胞子は6~10×1~1.2μm 〉(記載論文によれば子嚢は220~270×4~5μm)

今回の標本のデータ
子嚢殻は卵形。500×220~290μm 子嚢は280~330×4~5μm 子嚢胞子は200~280×1.5~2μm 二次胞子は6~10×1.5~2μm

比べてみるとスズキセミタケのほうに近い。ただ、こうした数字は熟度によって大きく変わる場合があるし、観察方法や観察者の癖によっても違いが出る。特に本種のような子嚢胞子が分裂しにくい種類では隔壁間の長さ(二次胞子)が一定しない。虫草の場合は稀な種類が多いので、ただ一回だけの検鏡で必ずしも典型的でないデータが記載されてしまうことが少なくない。したがって図鑑のデータを鵜呑みにするのは危険がある。

結論としては
・今回2例目のセミノハリセンボンの追培による完全型のストローマの発生の成功によって、コニシセミタケとセミノハリセンボンがteleomorph-anamorphの関係である可能性がますます高まった。
・今回の標本はセミノハリセンボンから追培したのでコニシセミタケのはずだが、外観や検鏡データはスズキセミタケに近い。この矛盾を解決する仮説としては
1. 一見同じに見えるセミノハリセンボンだが実は2系統(或いは多系統)ある。
2.コニシセミタケとスズキセミタケは実は同種であり、外観や検鏡データの違いは個体差に過ぎない。
3. たまたまスズキセミタケによく似たコニシセミタケである。

個人的には2. かなぁ?

追記

以上の文をアップした後、さらに資料を調べたり山鳥さんの掲示板で意見を交換したりした結果、少し考えが変わって来た。
まずコニシセミタケとスズキセミタケに加えてイリオモテクマゼミタケとK.Yさんからの情報をいただいた次のセミ成虫生種のデータを示す。(K.Yさんは以前セミノハリセンボンを野外で半分地面に埋まるようにして放置し、結実はしなかったもののストローマを発生させるのに成功しているそうだ。)

〈イリオモテクマゼミタケ Cordyceps sp. (iriomote-kumazemitake) 子嚢殻は卵形。350~400(600)×220~300μm 子嚢は150~230×4~5μm 子嚢胞子はデータなし。 二次胞子は4.5~6×0.5~0.7μm 〉

Cordyceps cicadicola 子嚢殻は楕円形からフラスコ形。500~550×250~300μm 子嚢は350~400×4μm 子嚢胞子の長さはデータなし。 二次胞子は5~6.5×1μm

・セミノハリセンボンとの間でteleomorph-anamorphの関係が言われていたのはコニシセミタケだけだが、他の3種についてもセミノハリセンボンが出ていないというだけで全く関係がないとは言い切れない。現に今回の標本でもセミノハリセンボンは消失している。

・今回の標本(以下"本種")を含む5種の検鏡データを比べると、コニシセミタケだけが二次胞子の長さが2.5μm なのに対し、他の4種は6μm前後でほぼ一致している。これはかなり大きな違いと思われる。

・またコニシセミタケにしろスズキセミタケにしろいくら形や色の変異が大きい種類とはいえ、本種とは違いが大き過ぎる。コニシセミタケとスズキセミタケの色が明るいのは若い時なのに対し、本種は成熟し胞子を放出しているのに明るい灰白色だ。また先の両種が鈍頭なのに対し本種は先がすぼまっている。

・形や色でいえばイリオモテクマゼミタケが本種に一番似ている。イリオモテクマゼミタケは(Cordyceps cicadicolaもそうだが、)子嚢殻が斜埋生になる特徴があるが、本種もわずかだが斜埋生のように見える。
イリオモテクマゼミタケの検鏡データは本種のものに比べて全体にやや小さめだが、明らかに別種というほどの違いではない。

以上のことから考えて本種はイリオモテクマゼミタケかその近縁種ではないかと思う。

とりあえず"セミ成虫生不明種"としておく。

  1. 2010/02/20(土) 12:51:24|
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