都市型オオセミタケ

2009/03/26

京都市内に出たついでにオオセミタケの坪を見に行った。今年になって何度か観察している場所だが、市街地の公園でしかも発生坪が桜の樹下というわけで、そろそろ採集しなければ思ったのだ。来週、再来週には花見客でいっぱいになり、採集が難しくなることが予想される。ここ数日の寒さで思ったよりは伸びていないようだったが、中には胞子を吐き出し始めているものもある。市街地のオオセミタケを観察するのは実は今年が初めてだ。京都の西山には都市型オオセミタケの発生が少なく、5月頃に山地型がわずかに出るだけだ。都市型は東山に多く、市内の大きな公園や寺社の境内などに見られる普通種だ。虫草仲間からの情報や今年の観察から考えるとどうやら桜の咲く頃にピークを迎えるようだ。
osem90326d.jpg
Ophiocordyceps heteropoda
Host:nymph of cicada. Place:Kyoto. 26 Mar. 2009


トガリアミガサタケやいくつかの菌生虫草と時期を同じくする種類だ。
osem90326e.jpg


木の根が縦横に走っている中に発生しているので、掘り出しは結構大変だ。ようやく数体を掘り出したが寄主は全てアブラゼミの幼虫だった。山地型では寄主はヒグラシの幼虫になる。

持ち帰ったオオセミタケ。山地型よりやや大型のように思える。
osem90326a.jpg

osem90326b.jpg

osem90326c.jpg
Ophiocordyceps heteropoda
Host:nymph of cicada. Place:Kyoto. 26 Mar. 2009

  1. 2009/03/28(土) 15:24:14|
  2. 未分類|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

疑問のタンポタケ

2009/03/12~

少し時間がたってしまったが12日にAさんの案内で京都市内のハナヤスリタケの坪を調べた際に見つかった菌生の不明種について報告しておく。Aさんが落葉を掻き分けてハナヤスリタケを探している際にタンポタケのような折れた2本のストローマを見つけたのだが、近くを調べて完全な状態のものが一体見つかった。
tanpo90312.jpg
Elaphocordyceps sp.
Host:Elaphomyces sp. Place:Kyoto. 12 Mar. 2009


一見すると少し色の明るいヌメリタンポタケか茶色型のタンポタケのように見えるがすぐにはどちらとも判別がつかず、断面が白いところからその場ではタンポタケの茶色型と判断した。完全な状態のものは発見者の Aさんが持ち帰り、私は折れたほうをもらった。
futan90312a.jpg
Elaphocordyceps sp.
Host:Elaphomyces sp. Place:Kyoto. 12 Mar. 2009


持ち帰って検鏡したところヌメリタンポタケタンポタケのどちらとも全く違う胞子が見られた。

冬虫夏草図鑑でもぴったり当てはまるものは見つからない。外見はヌメリタンポタケとタンポタケの中間のような感じなので、検鏡しない限り両種のどちらかと判定されてしまう可能性が大きい。

データを書いておく。
大きさや形はヌメリタンポタケやタンポタケと同じで寄主はツチダンゴ。頭部は濃い黄褐色で、ヌメリタンポタケほどではないがヌメリがあり、乾いてもわずかにてかりがある。子嚢果は完埋生で、孔口は他の両種より密。柄は明るい黄褐色で、表面はきめ細かいビロード状で緻密な感じ。
断面は不透明な白色で、柄の部分はやや黄味を帯びる。時間がたつとより黄褐色になる。

tanpohikaku1.jpg
left:Elaphocordyceps capitata, center:Elaphocordyceps longisegmentis, right:Elaphocordyceps sp.

tanpohikaku2.jpg
left:Elaphocordyceps capitata, center:Elaphocordyceps longisegmentis, right:Elaphocordyceps sp.

子嚢殻は600~700×350μm程度。
子嚢は450~550×7~8μm
子嚢胞子は320~350×1.8~2.5μm 64個に分裂し、二次胞子は4~6×1.8~2.5μm
futan90312b.jpg
perithecia of Elaphocordyceps sp.

tanpohikaku3.jpg
top:Elaphocordyceps capitata, center:Elaphocordyceps longisegmentis, bottom:Elaphocordyceps sp.

データと画像を山鳥さんの掲示板に投稿したところトリフィさんからエゾタンポタケの線はないのかとの御指摘を受けたので改めて比べてみたところ、似ている点も多いが微妙な違いがあり、同種とも別種ともにわかには判断がつかない。
両種とも子嚢果は完埋生で、色についてはエゾタンポタケは未熟時と完熟時で変わるので今回の不明種と違うとはいいきれない。図鑑やネット上の画像を見る限りエゾタンポタケの方が柄が細く柔らかい印象があるが、個体差の範囲かもしれない。
顕微鏡のデータもかなり似ているが今回の不明種のほうがひと回り大きい。
冬虫夏草図鑑によるエゾタンポタケの検鏡データを書いておく。
子嚢殻は450~540×230~260μm
子嚢胞子のデータはないが、子嚢は240~300×7~8μmなので今回の不明種よりかなり短いと推定される。
二次胞子は3~6×1.5~2μm

尚、Aさんによるとその後同じ山の別の場所で同種と思われる未熟の菌生虫草を見つけたようだ。
また、京都の東山で虫草を観察しているK山さんにも問い合わせたが、ヌメリタンポタケかタンポタケわからない菌生虫草を見つけておられるとのことだった。

  1. 2009/03/28(土) 14:15:42|
  2. 未分類|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0