2008/06/13K寺へ。再度
ヒメクチキタンポタケ大発生の坪を調べた。
前回(5月27日)調べてから二週間、例年より少し早いがほぼ発生のピークのようだ。一部はすでに胞子を出し終えて萎びかけている。一応発生数を調べてみたが昨年、一昨年に比べて遥かに少ない。せいぜい50体ぐらい見つかっただけだ。これから大量に出てくるとも思えない。どうやらさしもの大発生も、寄主のキマワリを倒し尽くしてようやく終息を迎えたようだ。
昨年(2007年6月25、26日)、
一昨年(2006年6月23日)、
(2006年6月27日)との違いをまとめると次のようになる。
・発生数が段階的に減っている。2006年は数百体、2007年は約150体、2008年は約50体。
・2006、2007年は平地でも見られたが今年(2008年)は斜面でしか見られない。
・2006、2007年には木のはえていない地面からも多数発生していたが今年はほとんどが木の根元や朽木から発生している。
・2006、2007年はキマワリの成虫(寄主はこの種の幼虫)が地面を歩き回っている姿がたくさん見られたが今年は一匹も見られない。
・何体か掘り出してみたが、今年は小型の寄主の割合が多いように思える。
持ち帰った
ヒメクチキタンポタケ。



Cordyceps annullata
Host:larva of Coleoptera. Place:Nagaokakyo. 13 Jun. 2008普通、持ち帰った虫草は水中できれいに洗うのだが、今回は筆で土を払い落しただけで撮影した。掘り出したばかりのヒメクチキタンポタケには必ず付いている薄桃色の顆粒状の物体がとれてしまうからだ。

anamorph? of Cordyceps annullata
Host:larva of Coleoptera. Place:Nagaokakyo. 13 Jun. 2008この顆粒状物体を私はヒメクチキタンポタケのアナモルフ(不完全型)だと考えている。この物体についてはヒメクチキタンポタケを自分で採集したことがある人ならたいていは気付いているはずだが、本種が載っている図鑑類やWEBでの記事でこれについての記述はほとんどない。おそらく洗浄の際になくなってしまうからだろう。わずかに香川の山鳥さんがヒメクチキタンポタケを追倍した際にこの顆粒状物体の顕著な増殖が見られたことが報告されているに過ぎない。
この顆粒状物体を検鏡した。菌糸によってつくられた球状の塊の中に分生子が詰まっていると思われる。


anamorph? of Cordyceps annullata球状の塊の外側には分生子は見られない。押しつぶしてみると俵状の分生子が出て来た。
conidia? of Cordyceps annullataヒメクチキタンポタケのアナモルフ(不完全型)の候補としては他に白いイザリア型の不完全虫草が見つかる事がある。これがヒメクチキタンポタケのアナモルフでないとする根拠は特に無いが、単なる重複寄生と考えられなくもない。
完全型の子嚢胞子については一昨年にかなりくわしく報告したので今回は省略する。
- 2008/06/14(土) 01:21:08|
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