保存標本の検鏡6

2007/02/20

先週少しづつ保存標本の検鏡を続けていたが、適切な時期に乾燥固定した標本からはかなりの高率で子嚢や胞子がちゃんと検鏡できることがわかった。その中に子嚢胞子が比較的短く、二次胞子に分裂しないか分裂しにくいグループがかなりの数あったのでまとめてみた。

ボクトウガオオハリタケ Cordyceps sp.

boku70212f.jpg
子嚢

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子嚢胞子 

コロモコメツキムシタケ Cordyceps acicularis

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子嚢胞子 隔壁数は一定しない。24~32程度。

コメツキムシタケ Cordyceps agriota

kome70214d.jpg
子嚢

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子嚢胞子 16前後に分割。

シャクトリムシハリセンボン Cordyceps sp.

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子嚢

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子嚢胞子 隔壁数は一定しない。18程度に分割。

オイラセクチキムシタケ Cordyceps rubiginosoperitheciata

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子嚢胞子 8前後に分割。

ハマキムシイトハリタケ Cordyceps sp.

hama70215b.jpg
子嚢

hama70215c.jpg
子嚢胞子 隔壁数は一定しない。10~12程度。

イトヒキミジンアリタケ Cordyceps sp.

itohiki70213e.jpg
子嚢

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子嚢胞子 6~8に分割。

子嚢胞子の分割数や長さはかなりばらつきがある。もっと多くの標本を検鏡して平均を出す必要があるだろう。最終的に二次胞子に分裂するかどうかは培養するなどして発芽まで追わなければ確認できないので乾燥標本では無理のようだ。
  1. 2007/02/20(火) 23:02:32|
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保存標本の検鏡5

2007/02/12

himesa70210a.jpg
今までヒメサナギタケ Cordyceps pruinosaと思っていたイラガの繭生の標本を検鏡した。10年以上前のものなのに戻してみると鮮やかな紅色で、今日採ったばかりのように見える。

nun70210a.jpg
比較のためにハチの仲間の繭から出たものも戻して検鏡した。子実体の外見では区別がつかないが胞子が違うはずなのだ。ところが検鏡してみると、両者共子嚢胞子がヌンチャク型で全く違いが見られない。どうやら寄主違いの同種のようだ。

himesa70210c.jpg
イラガの繭生の子嚢

nun70210h.jpg
ハチの繭生の子嚢

そういえばヒメサナギタケにしては色が鮮やか過ぎた。改めて旧い標本を引っぱり出して探してみたが、かなり採ったはずのヒメサナギタケがみつからない。おそらく保存が悪くて虫に喰われたりして、廃棄したのだろう。

himesa70212a.jpg
やっと1990年のラベルが付いたものを見つけて戻してみたが何か形が変だ。

himesa70212b.jpg
どうやら重複寄生らしい。
検鏡してみると重複寄生している方はやはり胞子がヌンチャク型の同じ種類だった。寄生されている方が本物のヒメサナギタケらしいが、さすがに胞子は見られなかった。

himesa9307xx.jpg
さらに探して1993年のラベルが付いたイモムシ生の標本を見つけた。これはイラガの繭生ではないが同時に多数みつけたヒメサナギタケの中の一体なので、ヒメサナギタケとして間違いないと思われる。

himesa70210e.jpg

これを検鏡するとやはり別の形の子嚢がみられた。残念ながら二次胞子等は確認できなかった。
  1. 2007/02/17(土) 09:53:56|
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保存標本の検鏡4

2007/02/09

015o.jpg
以前から気になっていたサナギタケの仲間を検鏡した。晩秋に大型のイモムシ(蛾の幼虫)から出る種類で、春に出る普通のサナギタケ Cordyceps militarisとは少し違うような気がする。過去何度か採っているが、これも最近はみかけなくて検鏡していない。

070209b.jpg
子実体が扁平なものと棍棒状のもののニ体を調べることにし、比較のために春に出る普通型のサナギタケも加えて水で戻した。

beniimo70209a.jpg

imo70209a.jpg
鮮やかだった色はすっかり褪せてしまっているが、形はかなりのところまで戻った。
各標本から子嚢果をちょっとづつ取り、押しつぶしてみるとちゃんと子嚢を持っていた。
比べた結果イモムシ生のもの同士では扁平なものも棍棒状のものも違いはなかったが、サナギタケとはかなり違うように思われた。以下比較。

070209a.jpg
子嚢殻はイモムシ生のものは細目のどんぐり型(左)なのに対し、サナギタケのほうは太目の洋梨型。

hikaku70209.jpg
二次胞子はイモムシ生のものは4~4.5×1~1.5μm(上)、サナギタケのほうは2.5~3×1~1.5μm(下)

imo70209b.jpg
子嚢はイモムシ生のものは幅4.5~5.5μmで長さは400μmを越えるものもあるが、ほぼ300μm未満。子嚢胞子がいくつに分割されるかは確認できなかったが、128に分かれるとすれば子嚢に収まらないのでおそらく64。

sana70209.jpg

サナギタケのほうは幅3.5~4.5μmで長さは400~450μm 子嚢胞子は128に分かれることを確認済み。

ということでやはりイモムシ生のものと春に出る普通のサナギタケとは別物のようだ。おそらくベニイモムシタケかイモムシタケだろう。
  1. 2007/02/12(月) 20:10:38|
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