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謎のヘヴァンシア

2020/12/02

ツイッターの相互フォロワーのTsukuru氏が京都市の某谷で見たことの無いクモ生虫草を見つけたとツイートしていた。私が以前T氏を案内した場所だ。画像を見ると一見未熟なギベルラ・レイオパスのように見えるが、Tsukuru氏が検鏡した画像は明らかにギベルラではない。ヘヴァンシアのようだが既知のヘヴァンシアでこのようなものは見たことが無い。
Tsukuru氏によるとタイ国で記載されたHevansia koratensisという種に似ているということなので調べてみると、確かに既知種の中では一番似ているように思われた。ただ、宿主なども含め全く同じというわけではないので、Hevansia sp.(Hevansia koratensisかその近縁種?)ということに落ち着いた。
しかし私がよく知っているフィールドで私が知らない種が見つかったということで、やはり内心穏やかではない。
ちょうど京都でいくつか見たい展覧会があったので、少し早めに出かけて某谷を見てくることにした。
以前クモ生虫草がたくさん出ていた辺りを探すと幸先よく形の良いハスノミクモタケが見つかった。これは持ち帰ることにした。ただ、後が続かない。目に付く限りの葉裏を調べたがギベルラ一匹みつからない。
“hasu201202c.jpg"

“hasu201202g.jpg"

“hasu201202a.jpg"
Hevansia nelumboides
Host: Spider Place: Kyoto. 02 Dec. 2020.


この日の目的はあくまで展覧会を観ることにあるので、虫草探索は午前中だけと決めてきた。予定時刻を過ぎてしまったのであきらめて引き上げることにし、帰り道で未練がましく低木の葉をめくっていると、小さなクモ生種が付いているのが見つかった。ルーペで見るとなんと例のヘヴァンシアだ。あわてて撮影して持ち帰る。
“heva201202b.jpg"

“heva201202a.jpg"
Hevansia sp.
Host: Spider Place: Kyoto. 02 Dec. 2020.


同じ木の別の葉にもう一体クモ生虫草が付いていたが、これは未熟なハスノミクモタケだろう。
“heva201202c.jpg"
Hevansia nelumboides
Host: Spider Place: Kyoto. 02 Dec. 2020.


持ち帰ったヘヴァンシアを拡大撮影。検鏡してみるとシンネマ全体に棍棒状のフィアライドが密生している。分生子はヘヴァンシアによくある歪な長楕円形だが微妙に他の種とは違う形だ。“hevax2.jpg"

“heva201202z3.jpg"
Hevansia sp.
Host: Spider Place: Kyoto. 02 Dec. 2020.


シンネマ
“hevasinnema201202.jpg"
synnema of Hevansia sp.

フィアライド
“hevaana201202.jpg"

“hevaana201202b.jpg"
phialide of Hevansia sp.

分生子
“hevabunseisi201202.jpg"
conidia of Hevansia sp.

それにしてもたった3体のクモ生虫草しか見つからなかったのによく目的の種に当たったものだと思ったが、後で過去にこの場所で今頃の時季に撮ったクモ生虫草の写真を調べてみて驚いた。なんと昨年と一昨年にも同じ種と思われるものを採集していたのだ。(当ブログ2018/01/19と2019/11/12の記事を参照)この場所では秋から冬にかけて普通に見られる種と思われる。
記録では未熟なギベルラ Gibellula sp. となっており、一応追培養したようだが未熟ではないためそれ以上成長せず黴びてしまったようだ。当然検鏡もしていない。思い込みによって貴重な発見を逃していたわけだ。このようなうっかりミスは肝に銘じて忘れないようにしなければならない。
  1. 2020/12/21(月) 08:57:54|
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S谷のギベルラ

2020/11/16、17、27

11月16日は久しぶりに近くのS谷へ。滝まで行かず近場で葉裏を調べる。様々な成熟段階のギベルラが4体みつかった。全て同種のようだ。うち2体を持ち帰る。
“gibe201116a.jpg"

“gibe201116b.jpg"

“gibe201116c.jpg"

“gibe201116d.jpg"
Gibellula dimorpha
Host: Spider Place: Kobe. 16 Nov. 2020.


持ち帰ったギベルラを黒バックで撮影。検鏡してみると分生子は明瞭なギンナン形。ギベルラ・ディモルファとしてよさそうだ。
“gibe201116f.jpg"
Gibellula dimorpha
Host: Spider Place: Kobe. 16 Nov. 2020.


分生子柄
“G_dbunseisihei1.jpg"
conidiophores of Gibellula dimorpha

分生子
“G_dbunseisi.jpg"
conidia of Gibellula dimorpha

17日は裏六甲のM谷へ。未踏査の源流を調べるためだ。前回はダムの向こう側に至るルートが見つからずに引き返したが、よく調べてみるとわかりにくいが確かに道らしきものがある。なんとか向こう側に到達。地図で推量したようにかなり水量のある川が続いている。他のどの谷でも見つかるようなゴミなどの人の痕跡が全く無い。ただ、今の時季ではあまり収穫はない。神戸で二ヶ所目のハガクレシロツブタケの坪が見つかっただけだ。来シーズンに期待。
“haga201117a.jpg"

“haga201117b.jpg"

“hagakure201117e.jpg"
Torrubiella s.l. sp.
Host: Pupa of Diptera. Place: Kobe. 17 Nov. 2020.


27日はまたS谷へ。16日に調べた辺りをさらに詳しく調べてみた。この辺りは一見普通の山道のように見えるが、実は川であり、雨が多い夏の数ヶ月を除いては水が涸れているのだ。そのため川が無いように見える場所でもクモ生種など気生の虫草が結構多い。
“kawa201127.jpg"


見つかったギベルラは全部で10体。かなりの発生量だ。すべて同種のギベルラ・ディモルファ。ここではこの種しか見つからないが、どういうわけか裏六甲ではこの種を見たことが無い。
“gibe201127a.jpg"

“gibe201127b.jpg"

“gibe201127c.jpg"

“gibe201127d.jpg"

“gibe201127e.jpg"
Gibellula dimorpha
Host: Spider Place: Kobe. 27 Nov. 2020.


他にはタイワンアリタケが一体とコノイデオクレラが多数みつかった。
“ari201127.jpg"
Ophiocordyceps ootakii
Host: Ant Place: Kobe. 27 Nov. 2020.


“cono201127.jpg"
Conoideocrella tenuis
Host: Scale insect Place: Kobe. 27 Nov. 2020.
  1. 2020/12/19(土) 16:15:51|
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裏六甲探索ラッシュ6、シュイロクチキタンポタケ

2020/11/06、10

さらに裏六甲探索は続く

11月6日はまずMi谷に入ったが小型のギベルラ一体しか見つからず、早々に引き上げてM谷へ。
“gibe201106.jpg"
Gibellula sp.
Host: Spider Place: Kobe. 06 Nov. 2020.


前にキマワリアラゲツトノミタケを見つけたところに隣接する松林を調べた。かなり大きな松の倒木があったので調べてみるとシロサンゴタケが見つかった。それも一本の朽木だけで十数体も出ている。朽木を崩して宿主を見てみると見覚えの有るゴミムシダマシの仲間の幼虫だ。数体を持ち帰る。
“sirosan201106a.jpg"

“sirosan201106b.jpg"
Polycephalomyces formosus
Host: Larva of Coleoptera. Place: Kobe. 06 Nov. 2020.


この宿主はシュイロクチキタンポタケの宿主と同じなのでもしかしたら見つかるかもしれないと思い、周囲の倒木を念入りに調べてみると、予想通り朱色の結実部が見つかった。同じ木にもう一体出ている。さっそく掘ってみるとやはり同じ宿主だ。
“syuiro201106a.jpg"

“syuiro201106b.jpg"
Cordyceps s.l. sp.
Host: Larva of Coleoptera. Place: Kobe. 06 Nov. 2020.


持ち帰ったシロサンゴタケを黒バック撮影してみた。
“sirosa201106d.jpg"

“sirosan201106c.jpg"
Polycephalomyces formosus
Host: Larva of Coleoptera. Place: Kobe. 06 Nov. 2020.


シュイロクチキタンポタケも黒バック。
“syuiro201106d.jpg"

“syuiro201106c.jpg"
Cordyceps s.l. sp.
Host: Larva of Coleoptera. Place: Kobe. 06 Nov. 2020.


シロサンゴタケを検鏡した。先端にフィアライドが集中し、柄の部分にはない。

シンネマ先端部
“sirosansinnema.jpg"
synnema of Polycephalomyces formosus

フィアライド
“sirosangoana.jpg"
phialide of Polycephalomyces formosus

分生子
“sirosangobunseisi.jpg"
conidia of Polycephalomyces formosus

11月10日はT川へ。前回行けなかったところまで調べてみるつもりで探索開始。谷に入ったばかりのところで道路際の倒木にヒメクチキタンポタケの未熟個体を発見。アナモルフを調べるために持ち帰る。
“himekuti201110a.jpg"

“himekuti201110b.jpg"

“himekuti201110c.jpg"
Ophiocordyceps annullata
Host: Larva of Coleoptera. Place: Kobe. 22 Jun. 2020.


道路沿いにかなり進んだところで松林に入る。ここでもシュイロクチキタンポタケが見つかった。一本の倒木から5~6体、さらに道路を挟んだ反対側の松林でも数体見つかった。2体持ち帰る。帰った後黒バック撮影したが宿主はこちらではハムシダマシの幼虫だった。
“syuiro201110a.jpg"

“syuiro201110b.jpg"

“syuiro201110e.jpg"
Cordyceps s.l. sp.
Host: Larva of Coleoptera. Place: Kobe. 06 Nov. 2020.


持ち帰ったヒメクチキタンポタケの未熟なストローマを検鏡した。予想通り一面にヒルステラ型のフィアライドが密生している。ヒメクチキタンポタケのアナモルフとしてはピンク色の球形の籠状のものが知られているが、もう一つ別形態のアナモルフが在ったわけだ。

未熟なストローマ表面
“himekuana1.jpg"
anamorph ofOphiocordyceps annullata

フィアライド
“himekuana2.jpg"
phialide of Ophiocordyceps annullata

分生子
“himekuana3.jpg"
conidia of Ophiocordyceps annullata
  1. 2020/12/17(木) 09:49:14|
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